大人になるのが、楽しみになる社会へ。

相談する LINEする 電話する
地域

データで描き直す、直売所の次の10年。鳥羽マルシェの運営コンサルティング

Outline

鳥羽マルシェは、平成26年10月に鳥羽磯部漁協と伊勢農協(旧鳥羽志摩農協)の共同出資で開設された、鳥羽市農水産物直売所です。「第1次産業の振興と農漁村地域の活性化」を掲げ、開業から10年にわたり、地域の食の流通拠点として機能してきました。鳥羽磯部漁協では、小浜地区に水産物加工拠点を新たに整備する構想が進行しており、その出口戦略(販売ルート確保)を描くうえで、BtoCの消費モニタリング拠点としての鳥羽マルシェの活用が重要なテーマとなっています。本事業は、水産庁補助事業「海業取組促進事業」の一環として、鳥羽マルシェの運営実態をデータと消費者ニーズの両面から調査・分析し、今後の商品開発や経営判断の土台となる知見を整理したプロジェクトです。LAMPSは事業統括として、過去3年間の売上データ分析、ABC分析、来店者ヒアリング調査、SNS・口コミ分析、そして経営層向けの報告までを一貫して担いました。

Vision

「感覚の運営」から「データに基づく意思決定」へ

10年にわたり地域で信頼を積み重ねてきた施設には、日々の運営のなかで蓄積された経験知があります。一方で、膨大な売上データや、来店者から日々寄せられる声は、そのボリュームゆえに、体系的に分析・活用しきれていない状態でもありました。これは多くの直売所・道の駅が共通して抱える構造です。本事業では、これらの一次データと消費者の声を丁寧に束ね直し、鳥羽マルシェの集客構造・顧客像・購買行動を立体的に描き出すことを目指しました。新たに整備される加工施設が、どんな商品を・どんな形態で・どの季節に供給すべきか。その意思決定を支える羅針盤を、データの裏付けとともにつくることが本調査の狙いでした。

Process

1. 3つの調査軸の設計と、過去3年分データの取り込み売上実態・商品別集中度・顧客ニーズの3軸で、施設の実態を立体的に捉える調査設計からスタート。日別売上集計表の全36ヶ月分(2023〜2025年)をCSVで抽出し、月次・曜日別の売上、客数、客単価の推移を可視化しました。既存の月次会議資料も丁寧に読み込み、現場の認識と定量データのすり合わせを重ねていきました。

2. ABC分析による売上集中度の可視化年間400品目を超える全商品を、飲食・食物販・即食・物販の4カテゴリーに分類し、過去3年間の上位品目の推移と売上集中度を検証。施設の売上を支えている主力商品群と、棚スペースに対する売上貢献のバランスを、カテゴリー横断で整理しました。

3. 来店者ヒアリング調査——「ガラポン抽選会」で本音を引き出す2026年2月23日、鳥羽マルシェ館内で来店者アンケートを実施。レジでの会計時に抽選チケットを配布し、1分程度の4問に回答いただく「ガラポン抽選会」方式を採用しました。参加のハードルを徹底的に下げることで、有効回答105件(目標100件超)を獲得。居住地・来店目的・購入商品・求める商品の4軸で、顧客の顔とニーズを直接把握しました。

4. SNS・口コミプラットフォームの横断分析Googleレビュー、食べログ、トリップアドバイザー、TikTok・Instagramなど、国内外の複数プラットフォームに寄せられた数千件規模のレビューを横断的に分析。施設の体験価値がどの切り口で評価されているか、外国人観光客から見た魅力は何か、来店者の期待値はどこで形成されているか——定量データだけでは見えない「体験の構造」を言語化していきました。

5. データを貫く「一つのストーリー」への収斂売上データ・ABC分析・来店者ヒアリング・SNS分析という4つの独立した調査が、最終的に一つの文脈へと収斂していきました。「誰が」「いつ」「何を求めて」来店しているのか。その像を、23ページのA4調査報告書と、経営層向け20枚の説明資料に結実させました。

6. 経営層向け報告と、5つの打ち手の提示令和8年4月、鳥羽マルシェ業務運営委員会にて報告を実施。調査で浮かび上がった構造を踏まえ、既存の強みを活かした施策から、中長期の体制整備まで、5つの打ち手を短期・中期・中長期の3段階のロードマップとして提案しました。

Harvest

「感覚」が「構造」として可視化され、次の打ち手の輪郭が定まった

Visionで掲げた「データに基づく意思決定」は、23ページの調査報告書と経営層向け説明資料という形で結実しました。10年の運営のなかで蓄積されてきた経験知が、定量データと消費者の声によって裏付けられ、あるいは新しい角度から捉え直され、次の10年に向けた経営判断の土台として整理されました。新たに整備される加工施設が、どの方向に向けて商品開発を進めるべきか、その羅針盤が定まりました。


「データ × 現場感 × 打ち手」という3層構造の機能

この調査の価値は、データの分析精度だけでなく、現場で積み重ねられてきた運営の工夫と、実行可能性のある打ち手とを、一つの文脈でつなぎ直したことにあります。分析結果が「レポートを読んで終わり」ではなく、「明日から現場で試せる具体的なアクション」へと接続されるよう、短期・中期・中長期の3段階でロードマップを組み立てました。
本調査の成果物は、鳥羽磯部漁協が進める海業取組の出口戦略、および鳥羽マルシェの次なる10年に向けた意思決定の土台として残り続けます。次年度の業務改善に向けたフォローアップも予定されており、調査で終わらない、継続的な伴走関係が構築されつつあります。

ClientJF鳥羽磯部漁業協同組合
Period2025年11月〜2026年5月
TeamLAMPS株式会社(事業統括:國分晋吾)
#海業振興#直売所運営コンサル#データ分析#ABC分析#消費者調査#出口戦略#マーケティングリサーチ