Outline概要文
東京の新渡戸文化高等学校の生徒たちが、三重県で進行する磯焼け問題に継続的に関わり続ける
——「草食系おととの大変身inみえ熊野」(日本財団・海と日本プロジェクト)の広報PR活動を、高校生が「受託側」として担う座組を設計したプロジェクトです。
スタディツアーで一度きりの体験を終える探究活動を、継続的な関わりへと接続。生徒たちは「高校生によるMOBA NEWS」として磯焼け・アイゴ・未利用魚をテーマに記事を企画・制作し、プロジェクト公式WEBサイトに発信しました。一部チームは自ら再び答志島に渡り、「アイゴのさつま揚げ」メニューを開発。2025年2月の校内イベントで試食とPRを実施するまでに至りました。LAMPSは座組の設計、広報PR授業の設計、生徒チームへの伴走を担当しました。
Vision実現したい状態
スタディツアーの感動を、継続的な関わりへと変換する
多くの探究活動は、スタディツアーに出て「現地を見てきました」で終わります。現地での感動は強烈でも、教室に戻れば時間は止まり、地域とのつながりは切れていく——これは全国の高校が抱える共通の壁です。
新渡戸文化高校も、東京の生徒たちが三重の磯焼け現場を訪れる探究プログラムを持っていましたが、その学びを一過性のものにせず、地域の課題解決に継続して参加し続ける仕組みが求められていました。一方、現地プロジェクト「草食系おととの大変身」側にも、WEBでの情報発信を担う広報PRチームが必要でした。「東京の高校生が、三重の海のために働く」——この二つのニーズをひとつのプロジェクトに重ね、高校生を「ボランティア」ではなく「受託側」として位置づけることで、プロとしての責任と主体性が立ち上がる構造をつくることを目指しました。
Processプロセスデザイン
BtoB型発注スキームの座組設計
「草食系おととの大変身inみえ熊野 → 新渡戸学園へお仕事として発注 → 校内で組成した広報PRチームが受託 → 記事を制作・納品」という発注スキームを設計。高校生を受注者として扱うことで、プロとしての責任を軸に据えたプロジェクト構造を整えました。
「プロモーション」ではなく「パブリックリレーションズ」の授業
広報PRの本質を伝える授業を設計・実施。「一方向に届ける」プロモーションではなく、「プロジェクトと市民の関係をつくる」パブリックリレーションズとは何か——目的・ターゲット・届け方の本質を伝え、企画編集チーム(記事の企画・制作・編集)とマーケティングチーム(拡散・リーチ拡大)の二班体制で運営をはじめました。
「高校生によるMOBA NEWS」の制作と発信
生徒たちは10本以上の記事を企画・取材・執筆・編集。「地域によっては高級魚!?アイゴとは?」「磯焼けの今!ガンガゼ大量発生!?」「二木島に来たら帰りたくなくなった件!」など、高校生ならではの視点で磯焼け・アイゴ・藻場の課題を発信しました。事務局は企画会議・原稿フィードバックを通じて伴走し、プロジェクト公式WEBサイト(umigoti-mie.com)への掲載まで接続しました。
有志チームの自発的な答志島再訪と、メニュー開発
プロジェクトの終盤、有志チームがスタディツアーで訪れた答志島に自ら再訪。漁師や食堂のお母さんを取材し、「アイゴのさつま揚げ」メニューを開発しました。2025年2月の校内イベントで試食とPRを実施し、「アイゴチャレンジ」としてコラム記事とビラも自作。来場者に磯焼けとアイゴの課題を直接届けました。
Harvest収穫
「継続する関わり」が、生徒の主体性の開花として実現した
Visionで掲げた「スタディツアーの感動を継続的な関わりへと変換する」は、生徒たちの自発的な行動として結実しました。誰に「やれ」と言われたわけでもなく、有志チームが自ら答志島に再訪してメニューを開発し、校内イベントで試食をふるまう——探究が「宿題」から「仕事」に変わったとき、高校生はここまで動き出す。その事実を、生徒自身が示してくれました。
「受託者として位置づける」という設計の機能
BtoB型の発注スキームとして設計したことで、生徒たちはプロジェクトの一員としての責任を引き受ける構造の中で活動しました。納品物としての記事は10本以上、現地プロジェクトの広報資産として今もWEB上に残り続けています。東京と三重という物理的な距離を超え、スタディツアーの感動を継続的な関わりへと変換する仕組みとしての一つのモデルが、この事業から生まれました。